俺の肩書きは、“天然素材コンシェルジュ”。そして“空間デザイナー”です。
天然素材コンシェルジュとは、ドイツではよく知られている職業です。
自然素材を使って家を作る時に、どこにどのような自然素材を使うかを提案するのが主な仕事です。
例えば、アレルギーがひどいお子さんがいるとか、シックハウス症候群の奥さんのために家を直すとか。
日本ではあまり知られていないことですが、家を作るときに使う素材を変えることによって、ひどいアレルギーが治ってしまうことがあります。
天然素材コンシェルジュは、どんな建材が原因でどんな症状が出るかを知り尽くしていて、家の中のどこをどんな素材で直したら症状が楽になり、快適に暮らせるかを提案する自然素材の住宅専門家です。それをずっとやってきました。
症状が進んだアレルギーやシックハウス症候群の場合、自分の家に入ると高熱が出てしまったり、くしゃみが止まらなくなったり、立っていられなくなる方もいらっしゃいます。
自分のところに問い合わせして来られる方々は、食事制限やマクロビオティックなど、様々な療法を試しても治らずに建築素材の問題に注目された方々です。その方々が一発で治る場面を体験しました。
それが俺の仕事の一つ、天然素材コンシェルジュ。
もう一つは空間デザイナー。
これがもともとメインでやってた仕事でした。某世界的有名なレジャー施設や、ミシュランに載るような飲食店や撮影スタジオ↑なども手がけました。
設計士やデザイナーとの大きな差は、例えば、あるレストランがオープンして店舗を改装するときに、メニュー表の紙質や色から箸袋のデザイン、ウェイトレスの服装まで考えるところです。それに加えて、春夏秋冬のダイレクトメールの内容まで全部提案します。
なぜそんなことまでしたかっていうと、すごくおいしいレストランのシェフは、言うまでもなく料理の天才です。ところが、天才的な腕の料理人に限って、どうやったらお客さんが入るかが分からないのです。
おいしさを徹底的に追求し続けてきた天才的料理人達が作り出す料理を、ふさわしいお客さんに食べてもらいたい。そして、お互いに感動と喜びを分かち合ってほしい、経営的にも成り立っていって欲しいと思ったんです。
それを提案するのは、自分にしかできないって、心から思ってしまったんです。どんなにおいしい料理を一生懸命作っても全然売れないレストランもある。本当に腕の良い料理人が作る美味しい料理が消えていく。そういうのが嫌だったし、なんとかしたかったんです。
もっとさかのぼると、俺の仕事の始まりは家の医者でした。家の医者とは、例えば停電した所を直しに行くとか。コンセントが足りないからつけに行くとか。おばあちゃんが1人で住んでいて電球交換ができないとか。水道が水漏れしてるから直してくれとか、そういう家の困ったことを直しに行くっていう家の医者の仕事をしていました。
つづく