山納銀之輔

自然界に寄り添って生きろ!全てを失くしても大丈夫!世界は大きい!

008 100均の英和辞典で交流。サッカー元ナイジェリア代表サムエル 〜俺がお金を捨てたわけ

 人生がつまんなくって死にたいって思いながらも、現場でお客さんに感謝されてたときのこと思い出して、大丈夫だなんとかなるって思って必死で電卓たたいてるとき、外国人労働者を雇用する話がきたんです。


日本人でさえ仕事ありませんっていう時代にサムエルっていうナイジェリア人は日本語が話せない。なのに日本で仕事を探してるっていう。面白そうだって思って採用しました。

 

サムエルは元W杯のサッカー選手だった。

でもケガをしてドクターストップがかかっちゃった。それで日本に仕事を探しに来てたんです。

 

サムエルに100円ショップの『ザ・英和辞典』を渡して、俺が『ザ・和英辞典』持って。二人で軽トラに乗って、俺も現場に出るようになったんです。

 

彼も日本でお金を稼ぐために一生懸命でしたし、俺も仕事させたくてしょうがないからお互いに必死です。だからすごい覚えましたお互い。

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半年程たった頃、英語にない言葉をサムエルが言い出したんです。「もったいない」って言い出した。「日本人はもったいない」って。

「なんでだ」っていったら「日本は生まれただけでラッキー。日本人に生まれただけでラッキーだ」「なんで」って。「あらゆる職業につけてあらゆる教育が受けられる。のたれ死ぬことはまずない」

 

ナイジェリアだったら仕事がない人が駅とかで寝てていつの間にか死んでるんですよね。日本には仕事がいっぱいあって、必要な教育はなんだって受けられるのに、日本人はなんでやりたいことをやらないんだ。もったいないよ。って。

 

「じゃあサムエルは勉強しろって親に言われなかったのかよ」って言ったら1回も言われたことないんだって。何で。職業が四つしかなかった。お父さんに言われたのは4歳のとき。「おまえ何になる。将来。次から選べ」

 

「タクシーの運転手、きこり、車屋、サッカー選手。どれ」

 

職業が4択。

 

お父さんにその4つから選ばなかったら死ぬぞって言われて、サムエルは「サッカー選手」って答えた。「じゃおまえ頑張れな」ってサムエルの人生は4歳からサッカー選手の道に向かったんです。

 

サムエルは4歳のときになりたい職業を決めて、5歳のときに駅前で靴磨きを始めるんです。サッカーボールを買うために。

買ったサッカーボールを裸足で蹴って練習して。それでまたずっと靴磨きをやり続けてシューズを買うんですね。

でもすぐに足が大きくなって履けなくなるからそれをブラザーに渡す。ずっと靴磨きを続けて靴を買い続けて。15歳のときにジュニアアフリカンカップの選手に選ばれたんです。カメルーンとかガーナとかアフリカ中から強いヤツらが集まってくる。サムエルはその代表になったんです。15歳ですごいことです。彼は本当に頑張ったんですよね。そして18歳だったか17歳かでW杯の選手に選ばれたんです。「俺年齢若いからなれない」って言ったら「大丈夫だ心配ない。なる気あるか」「なる」つていったら、知らない名前の20歳のパスポートをもらった。それでW杯に出たんです。

そこから10年間くらい、W杯の選手をやり続けて。

でも、イギリスの選手に蹴られてドクターストップ。サムエルはW杯選手のときに8世帯の親戚を養ってたんですね。8世帯。

8世帯みんながサムエルのお金をアテにしていて、みんなは働く気がない仕事もない。サムエルなんとかしてくれよみたいになったんですね。じゃあ日本に行って俺が稼ぐよって。

 

「日本は生まれただけでラッキー。日本人に生まれただけでラッキーだ」

「あらゆる職業につけてあらゆる教育が受けられる。のたれ死ぬことはまずない」

 

ある日突然、サムエルは強制送還になった。理由はわからない。俺は今の日本の子供達にサムエルの言葉を伝えようって思ったんです。

 

その頃ちょうど小中学校でパソコンの授業がスタートして、一般から講師の募集をしていたんです。それで非常勤講師に応募しました。

 

つづく