山納銀之輔

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009 小中学校の校長をはじめ先生たちを変えてしまったパソコン非常勤教師 〜俺がお金を捨てたわけ

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「日本人に生まれただけでラッキーだ」

「あらゆる職業につけてあらゆる教育が受けられる。のたれ死ぬことはまずない」

「なのになんで日本人はなんでやりたいことをやらないんだ。もったいないよ。」

 

俺はサムエルの言葉をどうしても今の子供達に伝えたくて学校の先生になりたいと思ってたんです。そしたらちょうどそのタイミングで小中学校の非常勤講師の募集が出てたんです。パソコンの授業は一般から先生を募集してたんです。これだ、やろうと。

 

最初の日は必ずサムエルの話。俺たちは日本人に生まれただけでラッキーなんだから。やりたいことはなんだってできる。なんでやりたいことが見つかんないのか。それは大人たちがそんなことやってもしょうがないとかいうからだ。そんなこと関係ないから、自分のやりたいことを決めてそれに向かえって。初日に必ず言うことにしたんです。

 

学校の先生ってどちらかというとレールに乗った人たちですよね。レールに乗った人たちが先生だからハメを外したりしないし、俺みたいな非常勤講師なんかに興味がないんですね。何きれいごと言ってんだみたいな感じです。最初はどこの学校に行っても職員室では相手にされませんでした。

 

講師に応募するとき、俺は決めたんですね。「学校に来ない子も絶対に授業に出す。保健室にいる子も、音楽室にいる子も、鉄棒にいる子も、授業に出す。全員出す。」って決めたんです。校長先生に「いいですか」って言って「いいですよもちろん」なんで誰もそれをやんねえんかなって思ってたんです。

 

俺の授業はいつも木曜の5時間目だったから、朝からずっと不登校の子の家をまわって迎えに行きました。

お母さんも一緒に授業に出ていいですって言って連れて来たんです。なんでそういうことしないかな学校はって思った。だけど俺の授業はやるから。って決めて、お母さんごと連れてきて授業に出したの。

他の授業はどうでもいいけど俺の授業は来いよって。

木曜日の5時間目だけは出てもらいました。

それで学校でちゃんとパソコンを教える、もちろん。そして5分くらいは俺が伝えたいことを話して、子供達の話も聞いて。5分ぐらいはいつも時間取ってました。

毎回必ず連れてくるわけ、必ず迎えに行って。そのうち迎えに行かなくても5時間目だけ来るんだよその子たち。それを11個の学校でやりました。

 

小学校と中学校を半年ごとに移動して3年半やりました。

 

それですごい反応があって、子どもたちはどんどんやりたいことが出てくる。自分から学校に来るようになるし、保健室にいる子も絶対に俺の授業は出るようになる。子供達に積極性が出てくる。引っ込んでいた子に限ってものすごいスピードで覚えたりするんですよね。そうすると、今度は先生が変わってくるんですね。子供達を見ている先生が変わってくる。

そのうち、校長先生が教室の一番後ろで、ちっちゃい机に座って俺の授業聞くようになる。

 

それで給食のときに先生達が机寄せてきて、俺の話聞くために集まってくるようになるんです。最初はなんだこいつから始まって。その学校に半年行き続けて3カ月ぐらいから職員室と校長が変わる。俺は大人も変われるんだって思いました。元は教育に対する情熱があって教師になった人も多いんですよ。だから変わる。

 

半年たって子どもたちがみんな手紙書いてくれるんです。僕はパン屋になりたいですとか、本屋になりたいです、看護婦さんなりたいです、と。小学校とか中学校で。それをみんな手紙で書いてくれるんです。たった半年しかいなかった俺に。

それで校長先生がぜひ、うちの息子バイトで使ってくれませんかって言ってくる。それがね、かなりの確率で言われるんですよ。びっくりしたのは大人たちが変われるっていうことでした。ちゃんとした教育学部に入って教育実習を受けて先生になるっていうことはレールの上を走らされていることになるのかもしれない。でも子どもたちの心をつかむっていうことはそれとは別のことなんですよね。それがちゃんと分かった。俺も先生達も。先生達の変化と言えば、各校に必ず2人ぐらい熱血教師がいるんですね。2人ぐらい。大体。

半年たってこの熱血教師が教師辞めますって言ってくる。自分のやりたいことやるっていうんです。

ずっとレールに乗っかってきたから今更辞められない。世間体もあるし。親もおまえはいい子に育って先生になって大したもんだみたいな。だからやりたいことはあるけど、もうこのまま先生として生きていこうっていう先生。その先生がまず教師辞めますって。

 

俺は子供を変えなくちゃって思って学校にきたけど、大人だってこんなに変われるんだって思ったんです。子どもよりもすげえなあと思った。たった半年で、レールからはみ出したことのない先生が、完全にはみ出しちゃってる俺の影響で変わったんです。たった半年です。

 

俺は「先生が辞めたらこの子たちはどうなるんですか。この学校には先生が必要だから、気持ちは分かるけど子供達の為にも残ってください」って。

 

それで、学校を移ってしばらくすると風のうわさが流れてくるんです。その先生がトライアスロン完走したぞって。

何人かの先生達がやりてぇこと何でもやるようになっちゃった。

 

高田馬場のじいちゃんが言ってたこと、俺がやりたいことやったら回りの人がみんな幸せになるって。それはこのことかなって感じました。

 

本当に学校の先生はやってよかったと思ってるんです。みんなが幸せになった。だから、これからの学校もたまに一般の人から先生を入れるっていうことをやったほうがいいですよね。

 

俺が思ったように、やりたいようにやったら、大人だって変わった。みんなが幸せになった。そのことで、俺は一つの決断をしたんです。

 

つづく