山納銀之輔

自然界に寄り添って生きろ!全てを失くしても大丈夫!世界は大きい!

019  宮崎で5万坪の村を見つけるも...詐欺不動産屋だった〜俺がお金を捨てたわけ

そんな風に、俺の村づくりがやっと形になって、取材が来るようになって、テレビでは鉄腕DASH村が始まって、いよいよ世の中が変わるぞって思ってました。

 

そこに3.11。俺は運命のままに村を離れることになって、北海道から九州まで、全国を講演活動でまわりながら移住先を探して。たどり着いたのが宮崎県、5万坪の土地でした。

 

俺、3.11が人生2度目の全て失う体験だった。みんな親切に見えちゃったよね。みんな親切でやさしいなと思って、その土地の持ち主の不動産屋が言うには境界をちゃんと検査しないとって。手入れのしていない山だし広いから測量に時間かかるって。それに時間かかる、 1 年ぐ らい掛かるから、それまで勝手に開拓してやってていいわと。売れるようになったら来年売るから。それまで自由に、家賃も何もいらないから是非使ってよ。って。話はトントン拍子だった。

 

しかも、金額は 200万でいいってことになった。何しろ山だから土地のほと んどが急な坂で、後で考えればいったいこんなところどうやってゴルフ場にするんだって土地なんだけど、不登校の子供達のアスレチックにしようとか、果樹を植えようとか、どうやって金を生み出すかとか、アイディアはいくらでもでてきた。俺には目の前のどうしようもないぼうぼうの土地に、みんなの笑い声と笑顔がいっぱいで幸せそうな完成図がはっきり見えていたんだ。

 

だからね。いてもたってもいられなくて、すぐに「分かった。」って言って開拓し始まった。

 

開拓して道路作って絵書いてここにこうやってこういうの作るんだ。つっていろいろ作り始まったんだ、みんなで。

 

みんなっていうのは、そのときワークショップで人集めて宮崎中からいろんな人が来てさ。 県外からも来てくれた。アースバックハウスっていって、土のう袋を積み上げて家を造ったりした。

 

そのときにものすごい親切にしてくれてお世話になったカフェがあったんだよね。その土地の隣に建っているカフェだった。そこのオーナーがそのカフェで寝泊まりしていいよって。

 

その代わりここで山納さんのイベントやってくれない? っていう。そこはカフェっていっても結構広くて、ライブやったりできるような、広い、もともと植物園だった場所を改装した所でしたね。すごいいいことをしているカフェだったんだよね。オーガニックなことやったり、マクロビの料理が出てくるようなね。栃木の村では、マクロビの先生達やオーガニックの農業をしている人達と仲良くやってたから、仲間だって思ったよ。俺は肉を食うけどね。自然界を大事にするっていうところが一緒だった。

 

そのカフェで、手づくりで家を造るストローベイルハウスだとかアースバックハウスとか。 健康に良くてローンを組まないで家を造れる方法だとかってワークショップをやってた。だけど悪いから家賃 1 万円ずつ払うってミワちゃんも 1 万円ずつ払って住んでた の。カフェのにはアースバックハウスを建てて、その村には 3 軒の小屋を建てたんだよね。大至急村に引っ越さなきゃ行けない家族がいて、建築費は出すからって事情があって急いでいて、とにかく人助けだと思って、そうなったら俺らの住む場所は後回しだよね。とにかく急いでた。あっという間に、どっちの建物もあとは外壁のしっくい塗って電線つないだら終わりだったの。

 

そのときにいきなり地主がなんかいっぱいぞろぞろ変な人連れて来て追い出すんだよ。何それと思って。道路まで造ってやって。したらそこの固定資産税を 10 年以上滞納してて、人に売れないってことが判明したの。

 

県からも職員が来て、本当にそうだった。そんで聞いたらその土地は平成 17 年に車とか家とかを埋めて不法投棄して新聞に載ったんだって。1 面にでっかく。その不動産屋のご主人が逮捕されたんだって。何で近所の人言ってくんなかったのかなと思って。そんな一 面に載った事みんな知ってんじゃん。良い人間だと思ってたカフェのオーナーも実は知ってたんだ。でも開拓が終わる。そして同時に出てけって言われた。

 

その開拓は仲いい人 6 人でやってたわけ。地主はたまに見に来てた。そのカフェのオーナ ーも一生懸命俺を応援してくれたわけ。そんでそこに手伝いに来ている夫婦がいて、その夫婦はちょっと蘭の花の栽培で失敗して自己破産しちゃって。今から自分で家を造らなくちゃなんないって、ここに通って作り方を教えてほしいって手伝ってくれてた。

 

それと埼玉から避難してきた家族がいて、その人たちは少し俺に投資するって言って土地代も出すからここに住まわせてくれないかってきた。その家族は全然仕事できないんだけど、手伝ったりする。その人の仕事を探すのが仕事みたいな感じの人たちだったんだけどね。みんな最初はそうだよねっつってその家族に対してはゆっくり教えながらやったよね。その奥さんがひどいうつ病で、子どももずっと学校行ってないって。「こういう森ん中で暮らしたら幸せになれるんじゃないか。お願いします」なんて言われて「分かりました」って。一緒にそこ住もうって、その人たちの家をとにかく大急ぎで作ってたの。

 

そしたら、その人たちがみんなグルになってた。追い出そうとしてくるんだよね。

 

そのカフェのオーナーは自分の村づくりにしたかったわけ。そのカフェがいいことやっている、ここを私の土地にするって言うんだよ。カフェのオーナーと地主の奥さんは古い友達で。どうせ地主は固定資産税払えないんだから。 ついでに開拓まで終わって、県からの改善命令も俺らが終わらせてたから、俺さえいなければ全員の問題が一気に解決する。

 

で自己破産した夫婦はアースバックハウスに住み始めた。 ご主人の方は、村づくりのリーダーになるって言うの。

 

何の冗談かと思ったよね。終いには、栃木から持ってきた工具も材料も什器や何から何まで、「これから のボクらの村づくりに、ありがたく役立たせてもらうよ」って取り上げられて、俺は追い出されたんだ。何もかもあっという間だった。

 

俺さえいなくなったらみんなお互いにメリットがある。メリットがあるどころじゃなくて。 メリットある上に正当化できるから。俺が極悪人で勝手にあの所を開拓したとか言われて。弁解して説得しているうちに、何もかもなくなってた。

 

もうどうしようもない。 泣き寝入りするしかなかった。 だけど。

 

仲間だと思って一緒にご飯食べて酒を飲んで夢を語って、汗を流した仲間が全部グルだったなんて。

 

俺が極悪人で、無断で勝手にあの土地を開拓して、みんなをだましていたと言われた。周りもそれを信じた。

 

俺がバカだったのかもしれない。だけど俺は本当にみんなの幸せと夢を叶えることで頭がいっぱいだった。みんなのことを考えながらすごく急いでいた。だから夢の中でも、みんなのことを考えて家を建ててた。


俺はみんなのことが本当に好きだった。

 

つづく

 

 

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ドイツで習った鍛鉄(たんてつ)。美容室の仕切りとして作ったもの。(H19.7.3)