山納銀之輔

自然界に寄り添って生きろ!全てを失くしても大丈夫!世界は大きい!

016 1200坪の村を月一万円で借り400年前の古民家に住む 〜俺がお金を捨てたわけ

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店舗デザインの仕事をしながらずっと土地を探してて、栃木県粟野の土地に決めました。それでまずその土地の手入れからはじめるんだけど、1200坪が草ボウボウで、草刈りしても切りがないんですね。それでまずヤギを飼ったんです。これがもうぜんぜん感謝しない。

1200坪の草なんてあっという間に食べ尽くしちゃって、畑の野菜まで食べちゃうし、どんどん遠くまで行ってずっと遠くの隣の家の野菜まで食べちゃうし、塀作っても乗り越えて体当たりして塀壊してまた人んちの畑で食べて。東京で店舗デザインの仕事中にこのヤギのせいで、何回も栃木まで車飛ばして謝りに行きました。ヤギのせいで全然仕事にならなくてすごい手間かかるのに、まったく感謝しない。ヤギのミルクでチーズ作ろうと思って一度乳搾りしようと思ったらすっごい怒ってそれ以来警戒して全然近寄れない。なのに冬になると草がなくなるからペットショップでウサギの敷き藁の一束2000円するのを毎日6束買ってきて食べさせなくちゃなんないから冬場のえさ代が毎日12000円。すごいセレブな彼女よりも金がかかってました。

 

ヤギだけはもう絶対飼わないって決めてます。

 

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で、土地の話に戻ると、月1万円。山奥すぎてコンビニもないし電波届かなくて水道も何もない草ボウボウの土地。

そこに400年前の古民家。ボロボロの、壁がない。トイレも風呂もない。江戸時代の家。

 

それがすごい気にいっちゃって。ここに住みてえと思っちゃったんですね。

 

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それで、料理は100パーセントたき火。毎日ダッチオーブン料理。おかげでダッチオーブン料理の達人になっちゃった。

 

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裏の山から川の水引っ張ってきて。壁を作って。ドアを作って。鶏小屋を作って。作業小屋を作って、どんどん作っていった。母屋の周りに小さな家を作って。ログハウスも作って。一人二人と人が集まってきて。村ができてくるようになって、人が泊まれるようになったのね。そんで東京から自然農法をやっている人たちが耕してくるようになった。土日。泊りがけで。

 

その頃、自然素材の店舗デザインをしながら、自然素材でアレルギーの家直しも同時にやっていて、あるとき千葉県の栗源村から、竹小舞で小屋を作ってくれという依頼が来たんです。竹小舞は、竹を編んで壁の下地を作って、土を塗って、最後は漆喰で仕上げる日本の伝統工法。その小屋づくりのワーックショップのときに泊まっていた所がくりもと地球村っていう自然農法の学校でした。そこの生徒たちとも仲良くなって。ほとんどが東京の人だったりして、みなさん学校を卒業したあと自分の土地がないんですね。で、うち耕していいよ、好きに。その代わりに野菜分けてよ、って。みんながうちに来るようになって俺もみんなから自然農法を教えてもらいました。

 

地元の人とは、ヤギのことで謝っているうちに仲良くしてもらえるようになってました。野菜をくれたりして。ある時は玄関が血まみれになっていてびっくりしたら、近所のじいちゃんがしとめた鹿の足を玄関においてってくれてたり。満月の夜は見月祭っていって誰でもうちに来てっていって。子供も若者もじいちゃんもばあちゃんも。近所の人たちが家族みんなでうちでご飯を食べて酒をのんで、いろんなことを教えてくれました。

 

そんな風にひとりぼっちで始めた村づくりに、人が集まってくるようになってきた。

 

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いろんな雑誌も取材に来るようになって。ケーブルテレビにも出るようになって。ワークショップをやるようになった。

 

そうやって自給自足の村づくりがスタートして、衣食住の食と住が整ってきたころに衣食住の衣との出会いが始まったんです。

 

俺にとって、服を作ることは家をつくることよりもずっと大変なことだったんです。植物を育てて繊維をとって糸を紡いで。それを織って布にして。裁断して。縫い上げて。染めて。

 

村づくりをしていたその栃木県の粟野町って所は、日本全国の90パーセントの麻の栽培地だったんです。

ところが麻は、免許がないと育てられない植物でした。

 

あるとき仲良くしてた77歳の爺ちゃんが、麻栽培をやめるって言い出して。やめなくていい、俺がやるからって。みんなでやるから続けようって言って。そこを借りることになったんです。そこで、ワークショップでストローベイルハウスを建てて、麻で土壁作って、家を造ったりするようになりました。そこで麻ひき体験とかオアカっていうんだけど、捨てる部分で断熱材作ったりそういうことやって栃木農業高校の課外授業をしました。宇都宮大学にも呼ばれて講師をさせてもらったり。そのうち麻関係の人たちがしょっちゅう来るようになってヘンプカーの出発場所になったりしました。

 

みんな、俺がいなくても勝手に家に入って、布団敷いて泊まってったり。勝手に餅つきしてたり。みんなが子ども連れてきて自分の家みたいにしてくれて。

理想の村がだんだんできてきた。1人ダッシュ村。

 

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つづく